問題行動をやめるために、自分の意志で制御することはできません。依存症の治療は、「渇望に負けない自分をつくる」ではなく、「問題行動ができない環境をつくる」ことが重要となります。予め自分の問題行動が起こる環境を、脳の「前頭前野」が正常に動くことができある落ち着いた環境で整理してまとめ、問題行動が可能となる状況を避ける必要があります。その項目とは「THE TPO」と呼ばれています。それらの要因をノートにまとめて自分を理解してください。「THE TPO」とは

T:ツール

  • 問題行動を実行するために使われる物理的・デジタル的な道具
  • 例:スマホ、SNSアプリ、アルコール、ギャンブル用のカード、特定のWebサイト
  • ポイント:道具を遠ざける・アクセスを制限するだけで行動頻度が大きく下がることがある

H:ヒューマン

  • 問題行動を誘発する人物、巻き込む人物
  • 例:悪影響を与える友人、煽る同僚、依存行動を共有する仲間
  • ポイント:人間関係の見直しや距離の取り方を考える材料になる

E:エモーション

  • 問題行動の直前に生じる感情
  • 例:不安、孤独、怒り、退屈、焦り、虚無感
  • ポイント:感情を早期に察知できれば、代替行動を選びやすくなる

T:タイム

  • 問題行動が起こりやすい時間帯やタイミング
  • 例:夜中、仕事終わり、休日の午後、ストレスが溜まった直後
  • ポイント:時間帯を把握すると、予防策を事前に準備できる

P:プレイス

  • 問題行動が行う場所やエリア
  • 例:自室、特定の店、職場の休憩室、帰り道
  • ポイント:場所を変えるだけで行動が抑制されることがある

O:アザー

  • 上記に当てはまらないが、問題行動を誘発する要因
  • 例:疲労、習慣、特定の匂い・音、天候、身体状態
  • ポイント:個人特有のトリガーを見つける領域

となります。

まずは上記「THE TPO」をノートに書きだしてください。

次回はその活用方法について説明したいと思います。

(山下悠毅『依存症の人が「変わる」接し方』主婦と生活社、2024年、pp.54–55)